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レビュー

惑星ルビコン3の戦場をアーマード・コアに乗って駆け抜ける「TRPG ARMORED CORE VI FIRES OF RUBICON」

レビュー
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フロム・ソフトウェアが開発したPlayStation 5、Xbox Series X|S、Windows用アクションゲーム「ARMORED CORE VI FIRES OF RUBICON」を原作とするテーブルトークRPGが、2025年2月20日に発売された。著者は「DARK SOULS TRPG」「ELDEN RING TRPG」に続き、フロム・ソフトウェア作品のテーブルトークRPG化を手掛ける加藤ヒロノリ氏(グループSNE)。本書はA4サイズ・300ページを超えるボリュームで、価格は税込4,950円となっている。

本作の舞台は、原作ゲームと同じく惑星ルビコン3。アセンブル可能なACのパーツやボスデータも原作を忠実に再現し、チャプター3までのシナリオを追体験できるサンプルシナリオが用意されている。例えばシナリオ1「密航」は、原作のオープニングムービーと同じナレーション・セリフから始まる。原作ゲームでは単騎で戦闘を行うが、本作では最大3機のアーマード・コア(以下、AC)による分隊を組んで作戦に挑むことが可能だ。4人以上のプレイヤーが参加する場合は、オペレーターとしてACのサポートに回る役割を担う。また、原作の主人公「621」は無口なキャラクターだが、本作ではテーブルトークRPGの特性上、分隊メンバー同士で会話を交わしながらプレイできる(もちろん無口な「621」をロールプレイしてもよい)。

本作では、キャラクターシートはACのみで、ACに搭乗する傭兵「レイヴン」の個人シートは存在しない。プレイヤーは「ASSEMBLY RECORD SHEET」と「OS SKILL RECORD SHEET」の2種類のシートを使用する。「ASSEMBLY RECORD SHEET」には、選択した武装の弾薬残数や、AP(ヒットポイントに相当)を記録する。APは「CORE」「ARM(R)」「ARM(L)」「LEGS」に分かれ、選択したパーツによって決まる。例えば、コアパーツのAPが「50×3Line」と記載されていた場合、「○○○○○」を3列記入する。ダメージは10点単位で処理され、10点の被弾ごとに「○」を1つ消す。さらに40点のダメージを受けると1ラインを失い、ラインを1つ失うと「スタン状態」となり、そのターンは行動不能になる。すべてのラインを失うと、その部位は破壊される。

バトルフェイズでは碁盤目状のマップを使用し、ターン制で進行する。ターン開始時には「ENダイス」を獲得し、例えばサンプル3のACはターン開始時に「3」のENダイスを獲得するため、6面体ダイスを3個振る。行動順はトランプを使用して決定される。ゲームマスターがプレイヤーにトランプを2枚配り、プレイヤーは低い数字のカードをゲームマスターに返し、高い数字のカードで行動順を決定する。「K」は13、「Q」は12、「A」は1として扱われる。「A」のカードはゲームマスターに返す必要はなく、通常の行動の後、「1」のターンで追加行動が可能となる。敵の行動順はシナリオごとに指定されている場合があるため、ゲームマスターの指示に従う。

プレイヤーの手番が回ってくると、再びENダイスを取得する。例えば、サンプル3のACは手番開始時に「3」のENダイスを獲得するが、この機体のENダイスの最大値は「5」であるため、ターン開始時と合わせて6個になった場合は1つを捨てなければならない。移動や攻撃はダイスを消費して行う。例えば、サンプル3のACの移動コストは「2」なので、出目が2以上のダイスを1つ、もしくは出目が1のダイスを2つ消費することで1マス移動できる。また、このACは「アクティブブースト移動(使用コスト4)」のスキルを持っているため、出目の合計が4以上になるようダイスを消費すれば、2マス連続で移動することも可能となる。

敵との距離は、同じマスにいると「レンジ0」、隣のマスにいると「レンジ1」、斜めのマスにいると「レンジ2」となる。武装には攻撃可能なレンジが決められており、例えばパルスブレードは「レンジ0」なので、敵と同じマスにいなければ攻撃できない。武装の使用にはコストがあり、パルスブレードで「メレー1Hit」の攻撃を当てるには「ゾロ2」(同じ出目のダイス2つ消費)、「メレー2Hit」なら「ゾロ3」(同じ出目のダイス3つ消費)が必要となる。斜めのマスにいる敵を攻撃するなら、出目4以上のダイスを消費してアクティブブーストで敵と同じマスに入り、その上で同じ出目のダイスを3つ消費すれば「メレー2Hit」の攻撃を行うことができる。

与えたダメージはメレーやノーマル、ミサイルなどの火力タイプとHit数がマトリクスになった「ヒットレート表」を使用して算出する。例えば、「メレー2Hit」のダメージは「50」であり、相手が回避するか、またはパルスブレード(ダメージ属性「E」)の攻撃に対する防御性能を持っていない場合、50点のダメージが通る。回避は回避コストのダイスを消費して行う。サンプル3のACは回避コストが「1」なので、ダイスをどれか1つ消費することで回避が可能となる。回避を行うとHit数を1つ減らすことができるため、「メレー2Hit」の攻撃は「メレー1Hit(ダメージ「30」)」になり、「メレー1Hit」の攻撃は当たらなくなる。また、ACによってはダメージ属性「E」の攻撃に対して防御性能を持っており、その場合は防御性能の数値分だけダメージを軽減できる。ダメージ属性は「弾」「爆」「E」「コ」の4種類があり、それぞれ原作の「実弾」「爆発」「EN」「コーラル」に該当する。

作戦が終了すると、「COAM」と呼ばれる収支計算が行われる。ここでは、目標達成の報酬や味方ACの被弾がゼロだった場合のボーナス、さらに補給回数や味方ACの損害状況によるペナルティが計算される。シナリオによっては、作戦行動中であっても支援物資の補給を受けることができる。これは原作の「補給シェルパ」に相当するが、使用すると収支計算時にペナルティを受ける。COAMは報酬として得られるが、一般的な通貨というよりも経験値に近い概念であり、作戦を遂行するために蓄積されていく。本作には、ACのパーツを購入するためにお金を支払うシステムがないため、COAMが減少することはない。COAMが2万点を超えるごとに部隊レベルが1上がり、レベルが上がるとより高性能なパーツをACにアセンブルできるようになる。なお、サンプルとして用意されているACは部隊レベル10でアセンブルされており、初期COAMは20万点からスタートしている。

本作のセッションは、「ガレージでのアセンブル(ACのパーツ選び)→作戦前のブリーフィング→作戦行動開始」の流れを繰り返す。そのため、いわゆる聞き込みをして手がかりを探すような探索フェイズは存在しない。前述の通り、パーツはお金を支払って購入するのではなく、各パーツごとに設定された価格の総計が部隊レベル以下であれば、自由に組み合わせることができる。作戦行動の内容に応じてその都度パーツを組み直しても、何かを消費する必要はない。

チャプター4以降をプレイするには、ゲームマスターがシナリオを準備する必要がある。ただし、シナリオを自作する際のアドバイスが4ページにわたって記載されている。もちろん、遊び方はプレイするグループに委ねられており、原作ゲームのシナリオを再現するだけでなく、例えば時間を遡り「アイビスの火」から生き残るシナリオを考えることもできる。

一見すると1990年代に日本でも展開されたテーブルトークRPG「メックウォーリアー(ボードゲーム「バトルテック」の拡張ルール)」を想像するかもしれないが、本作のバトルフェイズはそれほど難しくなく、ボードゲームに慣れていない人でもすぐにシステムを習得できる。原作の「ARMORED CORE VI FIRES OF RUBICON」が好きな人には、ぜひプレイしてほしい。

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